ISLEHOPS Island Dispatches
Island Field Dispatch — Paxi

ヨットのいないパクソス島

バックパッカーのためのパクソス島。豪華なヴィラは無視して、石灰岩の崖や原付で走る砂埃の道を抜け、地元に根ざしたタベルナを巡るイオニア諸島最小の島。

Elena Vance Backpacker & Outdoor Explorer
Logged 2025-01-01
Reading Time 8 min
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ヨットのいないパクソス島

Authentic photo of Paxi Photo: Wikimedia Commons

ガヨスの港でフェリーを降りた瞬間、ディーゼルの排ガスと潮の香りが顔に突き刺さった。ここは本当に小さな岩の塊だ。わずか25平方キロメートルの土地に、樹齢を重ねたオリーブの木々と切り立った石灰岩が詰まっている。大抵の連中はコルフ島から白いテーブルクロスの並ぶ豪華なボートツアーでやってくるが、ボロいスクーターを借りて西海岸へ向かえば、リネンシャツを着た金持ち連中を10分で置き去りにできる。空気は野生のタイムと太陽に焼かれたヤギの道の匂いがし、地面は放っておけばサンダルをボロボロにするような砂利だらけだ。ここは手入れされた砂浜を求める場所じゃない。深い海と鋭い岩、そして遠くで鳴くロバの声だけが静寂を破る、そんな場所だ。

オリーブの森と石灰岩の崖

パクソス島には奇妙な二面性がある。3つの主要な村がある海沿いは、イタリアの影響を受けた建物と高価なヨットが主役だ。だが、内陸に1キロも進めば、ヴェネツィア共和国が支配していた時代から続く石垣とねじ曲がったオリーブの木々が広がる別世界に変わる。入り江を見つけるために汗をかくことを厭わないソロトラベラーには最高の環境だ。DJがいて寿司が出てくるようなビーチクラブが欲しいなら、本土に留まっていればいい。この島は、午前中に銀色の葉が揺れる森を歩き、午後にガラスのように透き通った海へ崖から飛び込みたい奴らのための場所だ。

訪れるべき最高のタイミング

人間渋滞に巻き込まれるのが趣味でない限り、8月にここへ来るなんて考えないことだ。この島は夏のピーク時の混雑をさばききれるほど大きくない。狙い目は5月か6月。野生の花が咲き乱れ、トレイルはまだ草に覆われておらず、地元の人々も観光客に対してまだ寛容だ。9月も悪くない。イオニア海がようやく温まり、飛び込んでも心臓が止まるような冷たさではなくなるし、夕方の風が暑さを和らげてくれる。冬は死んだように静かで、湿っぽく、オリーブの木に降る雨を眺めるだけの日々になる。本を書くならいいかもしれないが、泳ぎたいなら最悪だ。

断崖絶壁と真っ青な海

本当のドラマは西海岸にある。エリミティスは外せない。巨大な刃物で削り取られたような、真っ白な巨大な絶壁だ。2008年の地滑りで「新しい」ビーチができたのだが、そこへ下りる道は膝が笑うほど過酷だ。だが、たどり着いた先にある水の色は、まるでフェイクのように鮮やかなエレクトリックブルーだ。

それからトリピトス・アーチ。埃っぽいヤギの道を必死に辿らないと見つからない。海の上にそびえ立つ天然の石橋だ。高所恐怖症でなければ上を歩くこともできるが、近くの崖から安ビールを片手に眺めるのが正解だ。気分転換には、ボートで10分のアンティパクソス島へ行くといい。大型ツアー客がひしめく最初のビーチは無視して、丘を越えて小さな入り江まで歩く。砂は歯よりも白く、水は浅くて温かい。

プライベートジェットを使わずに行く方法

おそらくコルフ島経由で来ることになるだろう。コルフの港からは2つの選択肢がある。1時間で着くが空き缶の中に閉じ込められたような気分の高速船(フライング・ドルフィン)か、もう少しリラックスできる「カメリア」ラインだ。ギリシャ本土から来るなら、イグメニツァからのフェリーがいい。時間はかかるが安上がりだし、デッキに立って変わりゆく海岸線を眺めることができる。パクソス島に空港はない。だからこそ、この島はまだ完全に台無しにされずに済んでいる。

四輪よりも二輪を選ぶべき理由

ここで車を借りるのはやめておけ。道は舗装されたヤギの道のようなもので、ガヨスやラッカでの駐車場探しは一日を台無しにする悪夢だ。125ccのスクーターを借りろ。安いし、ガソリンも食わない。ハイキングコースの入り口にある茂みに突っ込んでおけばいい。ただ、カーブの砂利には気をつけろ。地元のバス運転手は誰のためにもスピードを落とさないし、レンタルのバイクのタイヤは大抵寿命が近い。体力に自信があるならマウンテンバイクもいいが、坂道は冗談抜きでキツいし、正午には太陽に焼き殺されることになる。

拠点をどこに構えるか

ガヨスが中心地だ。フェリーが到着し、最も賑やかだ。悪くはないが、騒がしい。北にあるラッカは馬蹄形の湾になっていて絵葉書のようだが、ヨット乗りの連中が多い。個人的な推しはロゴスだ。3つの村の中で最も小さく、古い石鹸工場跡がある小さな港を中心に回っている。セットのような場所ではなく、生活の匂いがする。もし完全な静寂が欲しいなら、マガジアのような内陸の集落に宿を探すといい。バックギャモンに興じる老人たちとセミの声に囲まれ、バイクで10分も走れば海に着く。

タコと地元のオリーブオイル

食べ物はシンプルで、オリーブオイルがドバドバかかっている。パクソス島は国内でも有数のオイルの産地で、彼らは何にでもそれをかける。店先に料理の写真が貼っていないタベルナを探せ。スパイシーな魚の煮込み「ブルデット」か、タコ料理なら何でも試すべきだ。

予算を抑えたいなら、港の最前列のテーブルは避けろ。路地を2つ裏に入れば、地元の人間が半額で食べている店が見つかる。水道水は歯磨き程度なら問題ないが、基本的には脱塩された海水で、プールの水のような味がする。スーパーで大きなミネラルウォーターのボトルを買うのが賢明だ。ナイトライフはクラブで踊ることじゃない。ロゴスの海沿いのバーに座り、星が出るまでウゾを飲むことだ。

生き残るための基本情報

今でも現金がすべてだ。ガヨスの大きなレストランならカードが使えるが、山の中の小さなタベルナやボートを貸してくれる親父はユーロを欲しがる。主要な町にはATMがあるが、連休には現金が底をつくことがあるから、いくらかは持ち歩いておけ。

電波は島の大半で驚くほどよく入るが、西海岸の深い石灰岩の入り江に下りると圏外になることがある。EU圏外から来るなら、島に渡る前にコルフ島で現地のSIMを手に入れろ。ローミングよりずっと安い。大抵の店は午後の数時間はシエスタで閉まる。午後3時に閉まったドアを叩くような無粋な真似はするな。

人混みから逃れるために

西海岸の「青の洞窟」は見事だが、コルフ島やパルガからのツアーボートがすべてそこに集結する。もし見たいなら、朝のうちに小さなモーターボートを自分で借りて、午前10時前に行け。小さなエンジンなら免許は要らないし、自分のペースで海岸線を見る唯一の方法だ。

本当の脱出を望むなら、島の中央部へ向かい、古い石造りの貯水槽を探せ。何世紀も前に作られた、手彫りの巨大な貯水システムだ。そこには誰もいない。石垣の縁に座り、イオニア海を見下ろしながら、エンジンの音も人の声もしない時間を過ごせる。それこそが、派手なヨットの目的地という表層の下に隠された、本当のパクソス島だ。

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